衛生士国試対策問題〜プライヤー編〜
こんにちは。来年、国試受けるみなさんへ
日々の授業や実習、そして国試の勉強ほんとうにおつかれさまです。
今回もそんなみなさんの勉強のおともになるような、国試対策の問題を出しますので一緒に考えてみましょう！
少しずつ、一歩ずつ。その積み重ねが、きっと合格につながります！💯
今回はプライヤーに関する問題です。
まずは第31回歯科衛生士国家試験から１問出題します。
アーチワイヤー・マルチブラケット装置の撤去に使用する器具の写真を示す。使用用途との組み合わせで正しいのはどれか。２つ選べ。
①

②

③

④

a.①______結紮線の切断
b.②______バンドの撤去
c.③______ブラケットの撤去
d.④______ボンディング材の撤去
｛正答｝a.d
｛解説｝
写真は①ピンアンドリガチャーカッター、②持針器、③バンドリムービングプライヤー、④レジンリムーバーです。
①のピンアンドリガチャーカッターは線切断用鉗子のひとつで、リガチャーワイヤー（結紮線）などの細いワイヤーの切断で使用します。
②の持針器（ニードルホルダー）は結紮線やエラスティックモジュールでアーチワイヤーとブラケットを結紮する時に使用します。
③のバンドリムービングプライヤーはバンドの試適時やセメント合着されているバンドを撤去するのに使用します。先端の一方は咬合面に当てるよう面状の突起があり、他方はバンドの歯頸部辺縁に当てるために鋭くなっています。
④のレジンリムーバーはブラケットを撤去した際に残ったボンディング剤を撤去するのに使用します。
では、類問を3つ出題しますので解いてみましょう！
❶
可撤式保定装置（リテーナー）のワイヤー調整を行う場面で、最も適切な器具はどれか。
a.リガチャータイイングプライヤー
b.ホウプライヤー
c.ヤングプライヤー
d.ツイードアーチベンディングプライヤー
｛正答｝c
｛解説｝
可撤式保定装置（リテーナー）とは、矯正歯科治療で得られた咬合状態を維持し、安定するまで器械的保定として使用されています。保定装置には可撤式と固定式のものがあります。
a.リガチャータイイングプライヤーはリガチャーワイヤー（結紮線）でエッジワイズブラケットとアーチワイヤーとを結紮するのに使用します。先端にワイヤーが通るようにまた関節部にワイヤーを緊張できるように溝がついています。
b.ホウプライヤーはユーティリティープライヤーと同様に用途は多種多様です。主にワイヤーの適合･着脱、リガチャーワイヤー（結紮線）の結紮等に使用します。ビーク先端は円形になっていて、内面には滑り留めの細かい溝が刻み込まれています。
c.ヤングプライヤーは比較的太いワイヤーを屈曲するためにプライヤーで補助弾線やクラスプの屈曲、調整に使用します。一方のビークは太さが3段階の円柱形、もう一方は内面が平坦な角錐形です。それぞれの内面にはワイヤーを確実に保持できるように溝が刻み込まれています。
d.ツイードアーチベンディングプライヤーはレクタンギュラーワキヤー（角線）にトルクを付与したり屈曲するのに使用します。二つのビークは同形で、角線を保持した時にビーク内面がほぼ平行になるように1mmの幅をもたせてあります。
❷
以下の矯正治療操作のうち、ユーティリティープライヤーの使用場面として不適切なものはどれか。２つ選べ。
a.アーチワイヤーの適合･着脱
b.リガチャーワイヤー（結紮線）の切断
c.アーチワイヤー先端を切断
d.アーチワイヤーのシンチバック
｛正答｝a.d
｛解説｝
a.d.ユーティリティープライヤーは主にアーチワイヤーの適合･着脱やアーチワイヤーのシンチバック、綿材料などの把持、口腔内への輸送など多目的に使用されています。ビークは先端にいくに従って細くなだらかに湾曲しています。先端内面には滑り止めの溝があり、把持部分の面積を大きくしています。
b.リガチャーワイヤー（結紮線）の切断はピンアンドリガチャーカッターを使用します。
c.アーチワイヤーの切断はディスタルエンドカッターを使用します。バッカルチューブ遠心端から突き出たアーチワイヤーの末端を口腔内で切断するのに使用します。先端はバッカルチューブの遠心端に到達するようにL字型になっていて、切断したアーチワイヤーが飛ばないように把持できるようになっています。
❸
次の器具と使用用途の組み合わせのうち、誤っているものはどれか。
a.モスキートフォーセップス______エラスティックモジュールで結紮する
b.バンドコンタリングプライヤー ______既製バンドの形状修正
c.ブラケットリムービングプライヤー______接着したブラケットを歯面から除去する
d.バードビークプライヤー______レクタンギュラーワイヤー（角線）にトルクを付与する
｛正答｝d
｛解説｝
a.モスキートフォーセップスはエラスティックモジュールで結紮するときに使用します。先端が小さくなっているので、結紮用エラスティックの一部分だけを掴むことができます。
b.バンドコンタリングプライヤーは既製バンドを歯の膨隆にあわせたり、バンドの辺縁を絞って歯面へ適合させるのに使用します。
c.ブラケットリムービングプライヤーは接着したブラケットを歯面から除去するのに使用します。
d.バードビークプライヤーはラウンドワイヤー（丸線）の屈曲に使用され、各種のループの形成に適しています。レクタンギュラーワイヤー（角線）のトルク付与に使用するのはツイードアーチベンディングプライヤーです。
今回の問題もおつかれさまでした◎
ほりい矯正歯科クリニックでは、今日取り上げたようなプライヤーを実際に使って処置を行います。
国家試験のためだけじゃなく、現場でも活きる知識なのでしっかり身につけておきたいですね。
これをきっかけに、「矯正歯科ってちょっとおもしろいかも」と興味を思ってもらえたら嬉しいです。
気になったら、ぜひ実習や見学でも注目してみてください🦷✨
また、似たようなテーマの問題にもどんどんチャレンジして理解を深めていきましょう。
それでは、次回もお楽しみに。
〈参考文献〉
・医歯薬出版株式会社 一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会監修 咀嚼傷害･咬合異常2 歯科矯正p.127〜132より引用
・医歯薬出版株式会社 歯科衛生士国試問題研究会/編 2023年版徹底分析！年度別歯科衛生士国家試験問題集 問題編p.201（第31回午前108）、解答･解説編p.182より引用